経済成長に関する悩みは尽きない。中国ではGDPが世界第二になった余熱が冷めやまぬなか、いわゆる「中所得国の罠」の議論が静かに持ちあがっている。ここ最近、国内外の学者が口々に議論を戦わせ、ある時には望遠鏡を、またある時には顕微鏡を覗くかのように、この新興大国が「罠」をかわす方法を探している。
▼「中等収入者」の定義とは
中国経済が「中所得国の罠」を避けることを考えるとき、主な道筋は、収入を引き上げることで強力な「中等収入階層」を形成することになるはずである。しかし、「中等収入階層」とはどの水準のことを言うのだろうか。
中国社科院社会学研究所の張宛麗氏が10年前に「中間階級」の目安を示している。あくまで当時の社会事情に合わせたものであるが、それによると、個人平均年収と所有財産((を加えた額))が2.5万元から3.5万元までの間であり、自家用車を購入していること、それなりの社交費をかけていることとされている。職種としては、会社経営者、専門技術職、自営業者、会社員などであり、私有企業の経営者も一部含まれる。規模はおよそ人口の15%である。当時同氏は、「中間階層」は1億人いると楽観的に見積もっていた。