3大節句の1つ「中秋節」(旧暦8月15日、日本の中秋の名月にあたる)を30日に迎える中国では、家族と共に同節句を祝おうと帰省する人で交通機関がにぎわっている。一方、中国のお隣・韓国でも、中秋節(韓国名・秋夕)」は伝統的な祭典で、中国と同じく盛大に祝われる。では、韓国ではどのように中秋節が祝われ、どんな行事があるのだろう。韓国の中秋節に迫った。中国国営のラジオ局「中央人民広播電台」のニュース番組「全球華語広播網」が報じた。
韓国で中秋節は「春節」(旧正月)と並んで、非常に盛大に祝われる祭典だ。ほとんどの人が旧暦に基づいて旧正月を祝うものの、今では日本や西洋諸国のように、新暦に基づいて正月を祝う人もいる。そのため規模を比較すれば、中秋節の方が盛大といえるだろう。春節、中秋節のいずれにしても、韓国の人々は帰省して家族と共に祭典を祝う。
今年、韓国は中秋節の前日・29日土曜日から翌週の5日金曜日までの6日間が連休となる。そのため、ほとんどの人が28日金曜日の夜に帰省の途に就く。当日の電車や飛行機のチケットは何カ月も前に売り切れ、自分で車を運転したり、長距離バスに乗ったりして実家に向かうしかない人も多い。毎年、この時期は、韓国全土の高速道路が大渋滞となり、平常の2倍ほどの時間をかけてやっと実家にたどり着く。このような苦労も、韓国の人々が家族と共に中秋節を祝いたいという熱い思いに水を差すことはない。
中秋節の早朝、韓国の各家庭では全家族が晴れ着に着替え、「タレ(茶礼)」とよばれる、新穀でつくった酒とソンピョン(松片、松葉蒸し餅)やナツメ、栗、柿など、新たに採れた果物を祖先の祭壇に供えて祀る習慣があるため、この時期最も忙しくなるは女性達だ。韓国の人々は、先祖を敬い、重んじなければ、幸せな生活を送ることができないと考えているため、不幸なことが起きると、年配の人々は「先祖を大切にしていないからだ」と言う。
茶礼の食材、調理方法にはしきたりがあり、決まり通りに用意される。膳の一列目が菓子と果物、二列目がナムルと干物、三列目が汁物と焼き魚など、配置場所も決められている。そして、先祖を祀る祭壇は、上座が北になるように配置され、そこに茶礼床をおく。主人は先祖用に茶礼床に酒を注ぎ、ジョルと呼ばれる韓国の最敬礼を2回行う。その後参列者は主人同様、祭壇の前でジョルを2回ずつ行う。参列者の挨拶が一通り終わると、先祖の食事時間となる。
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