11日、中国籍の作家としては初めてとなる「ノーベル文学賞」を受賞した莫言氏。中国メディアに、賞金800万スウェーデンクローナ(750万元＝約9300万円)の使い道を聞かれると、「北京で大豪邸を買うつもりだったが、750万元では北京の豪邸は無理だと指摘された」と冗談を交えて語った。そんな中、15日、日本への抗議デモで自動車を破壊された所有者に中国産の新車を無料で提供し話題になった中国の実業家・陳光標氏が中国版ツイッター「微博(ミニブログ)」で莫氏に自身の別荘をプレゼントする意向を示した。北京のタブロイド紙「京華時報」(電子版)が報じた。

　▽曲解された莫氏のコメント

　莫氏は取材に対し、「北京で大きなマンションを買うつもりだったが、『賞金9300万円元程度では、到底大きなマンションは買えない。北京では1平方メートルあたり5万元(約62万円)を超えるので、せいぜい120平方メートル(約37坪)程度の物件しか買えない』と指摘された」とジョークで答えた。すると、この発言が「賞金では北京のマンションが買えない」というふうに曲解されてネット上で話題になり、中には「幻想的な作品を書く割には、現実的なことを言う」といった書き込みや「9300万円で北京のマンションを買う」さまざまなプランを紹介するネットユーザーらも登場した。

　賞金の使い道がネット上で話題になっていることに関して、莫氏はほとんどコメントを出しておらず、逆に「自分に関する話題が早く冷めることを願っている」としている。また出身地の山東省高密市で開催された2回目の記者会見でも、「今後は取材をお断りする予定」と発言。「コメントを出しても、伝達される過程で曲解されることが多いことを良く理解している」とした。

　▽陳氏「別荘を提供したい」

　陳氏は15日、中国版ツイッター「微博(ミニブログ)」で「北京で自身が所有している別荘2軒のうち1軒を莫氏に無料で提供したい。絶対に後悔しない」と書き込んだ。

　「莫氏のノーベル賞受賞に、大変興奮している。でも、賞金全額をつぎこんでも豪華なマンションも買えないなんて。自分も北京には何軒も不動産を所有している。莫先生が望まれるなら、別荘2軒のうち1軒を提供したい。2軒の別荘の面積はそれぞれ870平方メートル(約263坪)と630平方メートル(約190坪)。カバン1つ持って行けば生活できる」と陳氏。提供の目的については「住居のことで煩わずに、さらに多くの時間、精力を民族の優秀な文化を反映した作品を創作するために使ってほしい。私のこの願いは、多くの中国人共通の願いでもあるはず」と語っている。

　「人民網日本語版」