(中原の「つぶやき」コーナーは、その半生を北京で過ごした一日本人のちょっとした物語となっています)

当時の住宅事情、というのは、些か複雑であった。
他の都市のことを知らないので『北京』限定で言えば、私たちがこの地での生活を始めた1993年当初、外国人は中国当局が指定した居住区のみにしか住むことができなかった。所謂『外交人公寓(マンション)』や企業が許可を受けて借り上げているマンションなどだ。前にも書いたとおり、当時は本国から派遣された駐在員がほとんどで、私たちのような個人での長期滞在はまれだったし、留学生と言っても現役の本科留学生は少なく、企業派遣や交換留学生などが主で、個人的に部屋を借りる必要性のある人間が無に等しかったこともその背景にあるように思う。
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