(中原の「つぶやき」コーナーは、その半生を北京で過ごした一日本人のちょっとした物語となっています)

北京到着の翌日、腹ごしらえがてら初めて歩いた北京の町。
特に私たちの目を引いたのは、一風変わったマネキンたちだった。
頭からほおっかむりのような薄い布をかぶっていたり、もんぺのような微妙な丈のズボンにくるぶしまでのストッキングを履いていたり、首が妙な方向を向いていて、体全体が斜め後ろに傾いていたり。なんともやる気のない看板娘たち(=マネキン)。それがなんだか親しみやすくも感じたのだけど。
そう、民営化がそこまで進んでいなかった当時の中国では、"ディスプレイ"というのはあまりセールスの助けにはならなかったのだ。そもそも"ディスプレイ"という概念はどこから始まったのかというと、おそらく外資系小売店の進出に伴うものだったように思う。