安倍首相は16日より、ベトナム、タイ、インドネシアを訪問する。これは日本がASEAN諸国を抱き込み、中国を「包囲」しようとする最新の動きだ。中日関係を巡り、さらに「センセーショナル」な情報が伝わっている。産経新聞は14日、政府関係者の発言を「暴露」し、「中国側は10日より、東中国海の日本の防空識別圏内で、緊急出動という過激な手段により自衛隊の航空機に対応しており、かつ初めて米軍機を尾行した」と伝えた。日本の防衛相は15日の記者会見で、「領空に他国機が入り、警告後も退去しない場合、各国がそれぞれの対応をとっている。わが国も国際的基準にあわせ間違いのない対応を備えている」と表明した。「中日開戦」に関するさまざまな憶測が生まれ、緊張感に包まれている。
中国軍用機が日本の「防空識別圏」に入ったという日本メディアの報道について、中国国防部新聞事務局の関係者は11日、「中国の1機のY-8が10日、中国の温州から東、東中国海ガス田西南空域を通常巡回していたところ、航空自衛隊の2機のF-15が近距離で尾行し、1機の偵察機が同空域で活動していた。中国はそのため2機のJ-10戦闘機を出動させ、確認と監視を行なった」と表明した。日本側のいわゆる「防空識別圏」とは、防空上の理由から設定された空域を指し、日本の領空の範囲を大きく上回っており、中国にほど近い春暁油田(日本名:白樺)まで含まれている。中国の軍用機は国際公共空域に入っただけであり、日本は中国の軍用機を尾行する法的根拠を持たない。
しかし産経新聞は本件を喧伝し、「日米両国の中国に対する攻防戦はすでに新たなステージに突入した。現在懸念されるのは、中国が自衛隊の航空機に対して警告射撃を行うことだ。米国は中国側の過度な対応に対して、神経を尖らせている」と報じた。上海交通大学環太平洋研究センターの王少普主任は、「中米政府は本件に対して反応を示しておらず、日本だけが喧伝を続けている。これは中国の釣魚島に対する「強硬な姿勢」を誇張したものだ。安倍内閣はそもそもナショナリスト色の濃い政権で、常に右翼立国という「大計」を念頭に置いている。また27%のみの得票率で発足した安倍政権は、ナショナリストからの支持を背景としている。安倍首相が今年の参議院選挙で勝利を収め、政権を安定させるためには、自らの右翼的な姿勢を示し続け、保守的な「基盤」を固め続ける必要がある。この状況下、安倍氏は中国をアジアの「悪人」と決め付け、「日中の対立」という局面を形成しなければならない。こうすれば国内では改憲や防衛力の拡大に向けた口実を作ることができ、海外では日米同盟とASEAN諸国との協力を強化でき、アジアの反中国を核心とする「安倍主義」の戦略的構図を形成できる。まさに一石二鳥だ」と指摘した。
しかし「安倍主義」が順調に受け入れられるとは限らない。王主任は、「日本では現在、中国に対して温和的な態度を持つ政界・財界の関係者は、沈黙を余儀なくされている。しかし鳩山由紀夫元首相、村山富市元首相らが、中日関係の悪化を懸念する理性的な声をあげている。また日本人の多くは、戦争を望んでいない。安倍首相が独断的に「一戦を辞さない」構えをとり続け、国民の前でその意思表示を徹底するほど、最終的には民意の反発にあい、方針転換を迫られるだろう。中国とアジア諸国はすでに経済面で依存しあっており、いかなる国もアジア諸国を中国包囲に誘い込むことはできない。安倍首相は外交の攻勢により、中国から釣魚島問題の譲歩を引き出そうとしているが、これはくだらない妄想に過ぎない」と一蹴した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」
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