中国の習近平国家主席は12月31日夜、中国国際放送局、中央人民ラジオ局と中央テレビで新年の挨拶を述べました。毎年恒例ですが、例年と違って以下のような特徴が見られます。
○家族的な語りかけ
約10分間に及ぶ新年の挨拶では、分かりにくい古語や四字成語を一切使うことなく、話し言葉で日常的な口調で話しています。特に、挨拶の冒頭は「月日が経つのは早いもの」と述べ、家族が雑談する時に使う言葉で始まりました。
挨拶には、過ぎ去った1年の活動、新年の計画などが盛り込まれ、一般の国民が知りたいこと、聞きたいことが中心になっています。
○ネット用語の活用
インターネットやSNSで流行りだしたネット用語が、習主席の新年挨拶に取り入れられるていたことに、少し驚かされました。習主席が新年の挨拶で2014年のネット用語を使った文脈は以下のとおり。
"为了做好这些工作,我们的各级干部也是蛮拼的。当然,没有人民支持,这些工作是难以做好的,我要为我们伟大的人民点赞。"
「これらの仕事を全うするために、各級の幹部たちは一生懸命頑張っています。 もちろん、人民の支持がなければ、これらの仕事を全うすることは難しいです。私はわれわれの偉大な人民を称えたいと思っています。 」
"蛮拼的"は、非常に努力している、かなりがんばっていると言う意味です。"点賛"は、SNSでの投稿に対して賛意や共感を示す「いいね」の中国語です。 習主席は"蛮拼的"、および"点賛"を用いることによって、中国の国民が一生懸命に頑張っている精神に感動を覚え、高く評価していることを表しています。
○最多使用頻度の言葉:人民、改革、腐敗取締り
1400字余りの挨拶には、「人民」が11回、「改革」が6回も使われました。2014年は、改革の全面的深化を推進する元年となり、国民の利益に密接に関わる一連の重要な改革措置が打ち出されました。2015年は、改革の全面的深化を推進する鍵となる年であり、成否は国民の期待と希望に関わっています。「改革の全面的深化を推進する指導グループ」のリーダーを務める習主席は2014年の末に、難関を乗り越え、改革の全面的深化を推進する決意と自信を改めて表明しました。
また、2014年に最も人々に注目された「腐敗取締り」も、挨拶で3回使われました。習主席は「腐敗取り締まりを引き続き強化する」とし、「中国共産党が指導する社会主義国家においては、腐敗分子は見つけしだい1人1人調べて処罰しなければならない」と強調し、腐敗の取り締まりを今年も続けることを宣言しました。
○最も感動的な言葉:消息不明機の同胞を忘れてはいない
2014年を振り返ると、中国人は悲しい出来事も経験しました。マレーシア航空のMH370便が消息を絶ち、150人余りの同胞が行方不明になっていることや雲南省で発生した魯甸地震により、600人余りが被災したことなどです。一家団欒であるべき年の瀬に、これらの不幸な人々とその家族のことを、習主席は忘れていません。習主席は挨拶の中で、消息を絶ったマレーシア航空機の乗客家族に、「われわれは彼らのことを忘れておらず、引き続きあらゆる手段を尽くして、彼らを見つけるまで努力し続ける」と述べました。また、地震でなくなった人の遺族に、「われわれは彼らを偲び、その親族たちが安定した生活を送るよう願っている」と切に語りました。
「月日が経つのは早いもの」で、すでに新しい年、2015年を迎えています。一般の国民にとっては、国策や方針などが分かりづらい部分があるかもしれません。しかし、習主席の新年の挨拶から最も素朴な願いを読み取れるのです。それは、「国家の発展と人民の生活を年々向上させる」ことであり、「あらゆる人々を飢えと寒さの苦しみから救い出し、あらゆる家族を戦火の脅威から解放し、あらゆる子供が平和な日差しの下、すくすくと成長できる環境を作る」ことなのです。
「中国国際放送局」
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