「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)の建設に寄与する最も重要な金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の発展の方向性は、国際社会の注目を集めている。中国政府がAIIBの設立を提唱してから、一帯一路の沿線に位置する開発途上国は強い意欲を示している。しかし米国はこれを冷ややかな目で傍観し、批判を行い懸念を示した。
米国は西側の一部の先進国に対して、AIIBの加入を妨害している。しかし今月に入り英国が加入を宣言すると、ドイツ、フランス、イタリアがこれに追随し加入を宣言し、日本でさえも立場をゆるがせた。これによって、AIIBの開発途上国を中心とする構造に変化が生じた。
AIIBはインフラ整備を投資の目標とする。これは一帯一路の沿線国、特にアジアの開発途上国の積極的な参与を招く根本的な原因だ。アジア開発銀行は、アジアの2010−2020年のインフラ投資の需要だけでも8兆ドルに達し、同行の貸付能力をはるかに上回ると予想した。国際金融危機の発生後、アジア諸国の経済成長率が全体的に低下したが、インフラ投資は経済成長の新たな牽引力になる可能性がある。これはより重要なことだ。アジア経済の高度成長への参与、その収益の共有は、欧州の先進国に共通する願いだ。AIIBと一帯一路は、得難いチャンスをもたらす。
欧州諸国がAIIBへの加入を決定すると、西側諸国は一帯一路が、欧州一体化の過程におけるメカニズムや計画、米国が推進するTPPやTTIPのいずれとも一致しないことを理解する機会を手にした。一帯一路は物流ルートを紐帯とし、相互接続を基礎とし、多様化された協力メカニズムを特徴とし、運命共同体の建設を目標とする、新たな地域協力計画だ。これは西側諸国が創造した地域経済協力メカニズムとは異なっているが、アジアの発展の多元性に適応している。一帯一路の開放的かつ包括的な理念が現行の国際秩序を脅かし、これに取って代わることはない。この理念は一帯一路が現行の地域経済協力メカニズムと共存し、相互補完を実現することを確かにしている。
AIIBは一帯一路という映画の予告編と言える。我々はこれが真の成果を手にする前に、国際社会のすべてのメンバーに認められることを期待できない。しかし喜ばしいことに、AIIBに対する態度を通じて、一帯一路に信任票を投じる国際社会のメンバーが増加している。(筆者:李向陽中国社会科学院アジア太平洋・世界戦略研究院院長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」
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