日本政府は6日に来春から全国の中学校で使用する教科書の検定結果を、7日に日本語版・英語版の外交青書を公表した。日本政府の圧力や各出版社の自主的な審査の結果、一部教科書が歴史認識問題における記述で再び後退したことに国際社会は不安を抱いている。(文:沈丁立・復旦大学国際問題研究院副院長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
これまで教科書検定における文部科学省の立場は、出版社側の記述を前提に判断を行うというものだった。だが今回文部科学省は各出版社に対して、教科書作成の方針を改め、日本政府の立場を必ず盛り込むよう明確に求めた。日本政府は出版社に政府と口裏を合わせて記述するよう強制。出版社側は検定で合格するため妥協に追い込まれた。
日本政府のこうした干渉の下、今回検定に合格した教科書は日本の侵略の歴史について従来の記述を改めた。例えば南京大虐殺(日本の教科書では「南京事件」)について、いくつかの教科書は日本軍が「捕虜や住民多数を殺害した」との記述を「捕虜や住民に波及し、死傷者多数が出た」に改めた。圧力を前にやむなく「日本軍の暴行は強く非難された」との記述を削除した出版社もある。
また、中学校社会科系教科書の全てに釣魚島(日本名・尖閣諸島)に関する記述があるようになったが、その大多数が釣魚島を「日本固有の領土」と称している。日本政府は「学習指導要領解説」で、釣魚島について「日本が支配しており、領有権問題は存在していないことを生徒に理解させること」とした。これら全ては最も基本的な歴史的事実および中日間の4つの基本文書に背くだけでなく、昨年両国が発表した中日関係の扱いと改善に関する4つの原則的共通認識にも合致しない。
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