南中国海の情勢は最近、改善の兆しを見せている。中国とベトナムの首脳は、友好的な協議と交渉を通じて、海上の意見の相違を共同でコントロールし、協議による一致を土台として早期に「南中国海行動規範」を達成することで同意した。だが米国はこの流れに逆らっており、オバマ大統領は、中国が南中国海で力を見せつけて弱い者いじめをしていると的外れな非難をしている。だが中国が本当に力を見せつけ、弱い者いじめをしているのだとすれば、南中国海の状況は現在とはまったく違ったものとなっていただろう。事情に詳しい人ならば、中国が抑制的な辛抱強い態度を取っているからこそ、南中国海の平穏さが保たれていることがわかるはずだ。
各関係者にとって顔の立つ解決策を達成するため、中国は、南中国海問題の処理にあたって二重の手段を活用するとの構想を打ち出している。具体的な論争については直接的な当事国が交渉と協議によって解決し、南中国海の平和と安定は中国とASEAN諸国が共同で維持するという構想である。ここには米国の出る幕はないし、米国は状況をかき回しに来るべきではない。いかなる外部勢力の介入の余地もここにはなく、そうした介入は状況を一層複雑化するだけである。中国と関係国は、相互の争いを適切に処理する能力と自信を持っている。
米国は南中国海問題の本質をわかっていながら知らないふりをしている。もしも歴史についてよく知らないという人がいるならば、1963年に米国で出版された「ワールドマーク諸国百科事典」で南中国海の帰属がどう記述されているのか、1951年の「米比相互防衛条約」で条約の適用範囲がいかに規定されているのかを見てみればいい。フィリピンは長期にわたって米国の殖民地であり、その国境は米国が1898年の「米西パリ条約」と1900年の「米西ワシントン条約」、1930年の「英米条約」に基づいて確定したもので、その西側の境界は東経118度を越えたことはなかった。だがフィリピンが主権を主張している島々はいずれも東経118度から西にあり、フィリピンに属するものではない。米国はこのことをよくわかっているはずである。
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