内閣府はこのほど景気の基調判断を上方修正し、消費増税の経済への悪影響が徐々に薄れ、景気回復の兆しが見えるとした。しかし日本を長年苦しめてきた構造的な経済・社会問題が依然として残されており、経済の長期回復の道は平坦とはいかなそうだ。
一連の刺激策により、日本経済には確かに好転が見られた。まず、株価が急騰した。東京証券取引所の日経平均株価は4月10日に2万円を突破し、15年ぶりの高水準となり、安倍首相就任時のほぼ2倍となった。
次に大幅な円安により、輸出中心の企業の経営状況が大幅に改善され、設備投資計画が増加した。日本の昨年の輸出額は前年比4.8%増の73兆1000億円で、今年1月の伸び率は17%に達した。輸出のけん引を受け、企業の昨年10−12月期の経常利益は前年同期比11.6%増となった。また日銀の調査によると、今年3月までの前年度、日本企業の設備投資計画は前年比5.5%増となり、大企業の伸び率は10%以上に達した。
それから日本の鉱工業生産が安定し、倒産企業が減少し、雇用情勢が改善された。経済産業省の統計データによると、昨年の鉱工業生産指数は前年より2.1%上昇し、4年前の水準に戻った。2014年の全国倒産企業数は前年比10.3%減の9731社のみで、24年ぶりに1万社を下回った。上場企業の倒産企業は、24年ぶりにゼロとなった。今年2月の失業率は3.5%で、17年ぶりの低水準を記録した。多くの中小企業は、人手不足の問題に直面している。
日本経済は強い回復の勢いを示しているが、多くの課題に直面している。これには職員の実質賃金の減少、物価上昇、個人消費支出の減少、貿易赤字、政府債務の記録更新などが含まれる。
職員の名目賃金は増加しているが、物価上昇や消費増税などにより、実質的な購買力は低下している。総務省のデータによると、昨年の職員の賃金は前年比1.3%増となったが、物価上昇および消費増税などの影響を除くと実質2.3%減となった。多くの給与所得世帯は、かつてない生活の圧力を感じている。
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