自国が大規模な金融緩和策の受益者でありながら日本を非難するのでは、後ろめたさを感じるはずだ。また欧米は為替レート問題において、日本にほとんど利益を分け与えなかった。国際決済銀行(BIS)の直近の統計データによると、今年1月の米ドルの実質実効為替レートは0.34%のみ上昇し、英ポンドは1.92%低下し、カナダドルは0.15%低下し、ユーロも0.04%のみの上昇となった。
先進国間は現在“引き分け”の状態であり、損失を被っているのは新興国と発展途上国だ。国際決済銀行のデータによると、1月の実質実効為替レートが1%超上昇した国と地域には、アラブ首長国連邦、フィリピン、韓国、中国、香港、インドネシアが含まれる。本国通貨の高騰が経済にもたらす負の影響は、昨年第3四半期にすでに表面化していた。韓国、シンガポール、香港の経済成長率は、前年同期の水準を大きく下回った。
輸出の安定と経済成長の維持に向け、各国は対策を講じ始めている。韓国やフィリピンなどの国家は、本国通貨の高騰に対する懸念を公式の場で表明しており、一部の国と地域の金融当局は市場に直接的な干渉を行なっている。国際通貨基金(IMF)の態度にも微妙な変化が生じている。IMFのエコノミストは、“国際資本流動に激しい変動が生じた際、外国為替市場への干渉は政策の選択肢となる”と述べた。
|