中国の貿易業界はここ数年、長期にわたって高成長を支えてきた低コストの労働力や資源といった優位性が消えつつある。海外における「中国製造」のシェア維持と市場開拓には、技術のイノベーション、インターネット、人工知能を活用するサービスのイノベーションが不可欠。「中国製造」は品質を重んじる「中国質造」、スマート化を重視する「中国智増」への転換を急ぐ。
足元で国際市場の需要は依然として低迷している。中国海関(税関)総署が発表した最新データによると、2016年第1四半期の中国の一般貿易総額は5兆2000億元と、
前年同期比5.9%減少した。うち輸出は4.2%減の3兆元。さらに、企業の資金調達難や資金調達コストが高いといった問題も、貿易の不確定性を増す要素となった。
新たな世界貿易情勢を受け、中国企業はスマート化設備やクロスボーダー電子商取引(EC)を通じ、貿易チャネルの確保を図っている。イノベーションを通じて新たな成長エンジンを探り、中国の貿易モデルの転換に新たな契機をもたらしている。
「中国製造業の賃金はすでに東南アジアを超え、労働力コスト面で顕著な優位性はない。このため、中国の製品は技術イノベーションを重視しなければならない。海外市場の一層の開拓には、「余所では作れないものを作る」、「余所でも作れるものならその一歩先を行く」という精神が欠かせない--」。中国の家電メーカー、格蘭仕集団(Galanz)冷蔵庫・洗濯機部門の欧州地区責任者は、「世界市場での競争において、スマート化製品が中国輸出企業の新たな「名刺」になっている」と語った。
「インターネット+」、ロボットを代表とするスマート技術・製品が脚光を浴びている。格蘭仕は先ごろ、「G+スマートホームシステム」を発表。消費者は遠隔操作を通じ、電子レンジの調理温度や時間をコントロールでき、「上げ膳据え膳」も夢ではなくなっている。「新日」電気自動車はスマート技術よるブレーキサポート、電気遮断などを実現し、15年の輸出額が初めて1000万米ドルの大台に乗り、前年比31.7%増を達成。15年に蘇州科沃斯電器有限公司がECサイトを通じて発売したロボット掃除機「地宝」、「朶朶」は「「双十一」(11月11日のネット通販バーゲンセール」の1日だけで10万台を超える受注を獲得したという。
ロボット技術を研究・開発する優必特科技有限公司の人型ロボット540台は今年の「春晩」(春節を祝う中国の国民的年越し番組)にも登場。同社の熊友軍CTO(最高技術責任者)は、コア技術のレベルアップを重視する同社はコンピュータ・ヒューマン・インタラクション、制御、クラウド技術の向上を通じ、「人々が自分のロボットを持つ社会、スマート技術が一般家庭にまで普及する社会を目標にしている」と語った。
人口知能のほか、クロスボーダーECの急速な発展も国際貿易に重大な影響を及ぼしている。中国当局の後押しでクロスボーダーECはここ数年、業界のハイライトとなっている。中国商務部の予測によると、2016年のクロスボーダーECによる貿易額は6兆5000億元に上り、向こう数年にわたってクロスボーダーECが中国の貿易額全体に占める割合は20%に達する見通しだ。
国内外のECプラットフォームの発展を受け、多くの中国企業はクロスボーダーECという新モデルでこれまで抱えてきた課題を解決。国際市場での販路拡大に成功している。
金躍動力科技有限公司は昨年、輸出が好業績を達成した。新製品が新たな販路を切り開いた。同社の責任者は、「海外EC業者の功績が大きい」と話している。
広東志高空調有限公司・海外営業本部海外協力プロジェクト部の李彪によると、同社は今年から東南アジアや中東などの地域に支社を開設し、海外で倉庫を設け、クロスボーダーECを通じて新たな市場の開拓を試みる計画だ。
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