世界4大会計事務所の一角を占めるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)が21日に発表した「2015年グローバル・イノベーション1000社」自動車産業データ分析によると、自動車産業のR&D支出国別ランキングで中国が世界第4位に浮上した。国内でのR&D支出とR&D輸入額を含めた総額は07年の30億米ドルから110億米ドルに拡大し、世界自動車産業全体の11%を占めた。R&D支出総額のランキング上位3位はそれぞれ米国(世界全体の27%)、日本(同15%)、ドイツ(同15%)だった。
PwCのストラテジー担当は研究開発に多額の費用を投入した世界の上場企業のトップ1000社を「グローバル・イノベーション1000社」として特定。今回の調査はそのうちの自動車企業92社を対象に行われた。
調査結果によると、15年に中国の自動車企業14社が「グローバル・イノベーション1000社」にランクイン。14年の16社から数を減らしたものの、この14社のR&D支出は合わせて43億5000万米ドルに上り、14年の総額を25%上回った。なかでも、上海汽車工業総公司が11億1400万米ドルのR&D支出で初めて上位20位に入った。順位は19位で、中国の自動車企業としてもグローバル・イノベーションのトップ20社入りは史上初だった。
PwC中国管理コンサルティング部門の金軍パートナーは、「産業の発展に加え、新エネルギー自動車に対する政府の力強いサポートを受け、中国の自動車企業は模倣や技術の導入を中心とした製品開発モデルから脱却し、自主的な研究・開発体制が構築されつつある。上海汽車工業総公司のR&D支出の上昇がその良い証拠だ。一方、世界自動車産業のトップ企業と比べ、研究開発への投入や、イノベーション力などの面において依然として一定の差を付けられている。中国の自動車企業による研究・開発支出はさらに増加する余地がある。投入を増やすと同時に、共同研究・開発を一層拡大させるのも選択肢の一つ。リスクの抑制、効率の向上、コストの削減につながる」と指摘した。
また、中国自動車産業のR&D輸入額は15年に90億米ドルに達し、ドイツを追い抜き、米国に次ぐ世界第2位の自動車R&D輸入国となった。新興市場を代表するインドのR&D輸入額も30億米ドルに上り、英国を追い抜き世界5位まで順位を上げている。一方、R&D輸出に関しては、日本は200億米ドルの輸出額で世界1位をキープ。ドイツが米国に代わって世界2位の自動車R&D輸出国となった。
PwC中国自動車産業担当の廖仲敏パートナーは、「環境に優しいハイブリッド動力システムや新エネルギー技術、安全性を高める自動制御、衝突安全性能の強化などが自動車企業によるR&Dの重要分野だ。地域別でみると、自動車メーカー、部品供給業者、業界の大手各社はR&Dの中心をアジアにシフトしつつある」と語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」
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