開放の加速は市場に期待をもたらす。現在、世界の投資の7―8割がクロスボーダーM&Aであり、中国各業種・各企業の対外への開放度は全体的にやや低い。中国の金融分野の開放によって、資本市場に大規模な海外資金と各種の投資家が流入するだけでなく、国際的な一流レベルの銀行、証券会社、保険などの金融機関の開発が促進されることで、競争力と収益力の向上を推進することができる。その他の産業の対外への開放も同様に、資産の再編成と業績向上のチャンスをもたらす。
次に一連の具体的な改革政策が実施される日程が明らかになることで、改革は強い姿勢で、既得利益に対する揺るがない決意に働きかけることができ、市場各方面の意欲と自信を高めることに繋がる。例えば、所得分配の改革に関する全体方案が発表されれば、より多くの具体的な政策が後に続く。所得の向上は消費成長を保証する最も有力な決め手である。また、一次産品の価格改革推進に伴い、関連業種・企業には大きな利益を得られるチャンスが訪れる。他にも、土地収用制度の改革、医薬衛生体制の改革、民間投資を支援する細則、営業税から増値税(付加価値税)課税への切り替えの試行範囲拡大などの一連の改革政策が両会後に実行に移される。どの改革も新たな投資チャンスを秘めている。
そして、衣食住や外出・交通手段について、全面的に国民の生活水準と質を向上させることで、新しい投資チャンスが生まれ、また新たな投資リスクも潜んでいる。映画『泰囧』の大ヒットにより、同映画のプロモーターである中国の大手映画会社・光線影業(Enlight Media Group)の株価は倍になった。一方、基準値を超える可塑剤が検出されたことで、白酒業種の株価は大暴落し、単日で300億元の時価が蒸発した。経済発展は国民生活に寄り添うものであるべきで、資本市場もまた、その土台から離れてはいけない。今後、グリーン農業、環境保護、食の安全、電子決済、旅行、飲食など、市場の注目銘柄もリスクも、ますます人々の生活と密接な関わりを持つようになってきた。また、新しい生活スタイルと消費市場で注目される商品からも投資チャンスは生まれる。
最後に最も重要なのは、「ローマは一日にして成らず」との諺があるように、経済発展と改革の恩恵を実際に現金として得るために、投資家は短期的な視点からの投機的な売買を避け、より一層堅実な意志を持ち、盲目的な投資を控えるべきである。
「中国証券報」より