ゼネラル・モーターズとフォルクスワーゲンの、中国における「全バリュー・チェーンの本土化」は、すでに成功を収めている。日産と現代・起亜は長年の「慣らし運転」を経て、合弁会社の利益最大化を企業発展の最高基準とし、協力により大きな力を形成し、企業の高度成長を促している。
そのうち東風日産は、融合度が最も高い合弁自動車メーカーと公認されている。同社が定めた「基本法」は最大の開放度を実現し、尽きることのない活力を外に示し、社員一人ひとりの潜在力を十分に引き出した。トヨタも中国で研究開発センターの設立を開始しており、中国事業の役員に中国人を迎えているが、合弁会社の経営に関しては閉鎖的・保守的だ。
広汽トヨタも一汽トヨタも、重要なポストに中国人・外国人の二重管理制度を敷いている。中国側が得意とする人材の使用、ルート拡大、マーケティングのすべてが、日本側の管理者の同意がなければ実行に移せないのだ。近年の中国事業の不調を受け、日本側の管理者は権力の取り戻しを急いだ。双方の不信任感が悪化し始め、一触即発の状態にあるという噂が業界内で伝わったほどだ。これにより企業の深刻な資源浪費が生じ、戦略の決定力と執行力が大きく損なわれた。
いわゆる本土化とは、商品デザインで中国人消費者の好みに合わせるだけではなく、また中国市場の資源供給を強化するだけでもない。それよりも重要なのは、管理者の現地化を実現し、開放・融合の中で権限の適切な配置を身につけ、中国側の提携先の意向を最大限に尊重し、合弁企業の利益最大化を実現することだ。そうすることにより、トヨタは中国市場で本来の実力を発揮できるようになる。
かつてフォルクスワーゲンがまだ優位を占めておらず、トヨタ車の供給が需要に追いつかなかった時代、トヨタ中国法人のある役員は食事中に、「定年退職後に、トヨタはいかにして倒産したかという本の執筆を検討している」と冗談を言い、「トヨタの大企業病はすでに深刻で、重病になっている」と語った。トヨタの頻繁な人事異動の背後にあるものが、人材の活用であるのか、それとも新たな勢力闘争であるのかは定かでない。筆者の知る所によると、トヨタ合弁会社内部の日本人管理者の間では、誰がどの勢力に属するかは公然たる秘密になっている。日本人管理者は団結力を発揮しておらず、企業の戦略決定力に大きな疑問符が打たれている。
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