そう、これもまた、もし私たちが定刻どおりに到着していたら、見落としていたかもしれない光景なのです。
さて、遼寧省はシーズンを問わずにアクティビティを楽しめる観光地です。春は世界文化遺産にも名を連ねる山、夏は海、秋は山々の紅葉、そして冬はスキーや氷祭り。そして遼寧省は、私たち日本人がこよなく愛する温泉で有名な土地でもあります。
ただし、遼寧省の温泉産業は今正に発展の歩みを進め始めたばかりですから、温泉に対する目の肥えた私たち日本人を引き付ける魅力が果たしてここにはあるのか。私はその質問を、直接応氏にぶつけてみました。
応氏の回答はとても潔く、そして明快でした。
「遼寧省の温泉産業は日本の温泉産業には及びません。しかしそれはその歴史と伝統の問題であり、水質や施設の問題ではありません。日本の温泉は小規模なものであるのに対し、遼寧省の温泉は一つの温泉にいくつもの『湯』があり、それぞれ違った趣を楽しめるようになっています。先日日本の温泉協会のメンバーを招いた際も、その点を非常に楽しんでもらえることができました。そして最も大きな違いは、温泉に付加するサービスです。遼寧省の温泉では、漢方医学による様々なサービスを用意しています。鍼灸・マッサージはもちろんのこと、これを駆使したリラグゼーションなど、是非こういったサービスを併せて楽しんでいただきたいと考えています」。
中国の世界文化遺産をたっぷり堪能した後で、日本人になじみの深い温泉に浸かって「旅行」という非日常の疲れを癒し、漢方医学で「健康な旅」という、日本の風情と癒しを尋ねる温泉の旅とは一味違う温泉の楽しみ方もまた、魅力的なのではないかと思います。
そして午後は再び降り出した大雪の中、工場視察に向かいました。
私たちが訪れたのは、「瀋陽風鼓集団」と「瀋陽機床集団」の工場です。