多くの民間企業は、ここに目をつけ、高齢者施設事業に積極的に参入し、新しいタイプの民間高齢者センターや老人ホームを続々と建設した。たとえば、老人ホームと幼稚園を隣同士に建て、入居している高齢者に幼稚園教員の補助として子供達の面倒を見てもらうように取り計らい、高齢者にとっても良い気分転換になっている。ある高齢者センターでは、料理や洗濯など、高齢者が自分で自分のことをするスペースを設け、また、筋肉の衰え防止や寝たきり予防を目的とした専門指導員による軽いエクササイズ・クラスを提供している。従来の高齢者施設は、近所の病院や個人診療所との提携によって高齢者に医療サービスを提供していたが、今では、多くの高齢者施設が、建設計画の段階で、病院や診療所を敷地内に併設し、24時間の医療サービス体制を敷いている。
地域コミュニティ内の小型高齢者施設も、数多く建設されている。毎日午前9時過ぎ、高齢者施設の送迎用ミニバスが各家庭を回って高齢者をピックアップする。ミニバスの後部には、ステップが備え付けられており、運転手は停車後ただちに、高齢者が降車しやすいようにステップを出す。高齢者を昼間だけ預かるこのような地域デイケアセンターは、高齢者を持つ家族の介護負担を軽減すると同時に、高齢者自信も家の外で仲間との交流や各種イベントを楽しむことができ、両者にとって大いに利益がある。中国と異なる点は、日本のデイケアセンターの多くは、地方自治体など公的機関が運営しており、国の介護保険の適用対象となっていることだ。
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