北斗システムはユーザーに自分の位置を知らせるだけでなく、他のユーザーに自分の位置を知らせることもでき、ナビゲーションやモバイルデータ通信が必要な場面での使用に適している。例えば軍事面では、個人の戦闘能力を大幅に引き上げることが可能だ。山岳地帯・密林であれ、沙漠・荒野であれ、北斗システムの端末さえあれば兵士は自分の位置を把握し、自分の動きをリアルタイムで指揮部門に伝えることができる。指揮部門は兵士の動きを随時把握しながら指令を出し、方向やルートの間違いも防ぐことが可能だ。
高密度かつ強力な電波干渉はこれまで、北斗システム建設における大きな難題だった。現在、世界は様々な周波数・強度の電磁信号で覆われている。北斗の実験でも、測位衛星と受信端末が干渉を受けた際、衛星と地上ステーション・各種端末間の通信に深刻な影響がもたらされ、使用効果が低減するという現象が頻繁に見られた。しかも、一部国家は精密誘導兵器の性能を弱めるために測位信号に干渉を与える研究を行っている。この問題を解決できなければ、中国の戦闘機やミサイルなど、ナビゲーションや測位に頼る兵器の役割を最大限に発揮できず、戦闘能力が下がる。例えば戦闘機は効果的なナビゲーションを受けられずに攻撃され、ミサイルは精確な攻撃ができなくなるといった具合だ。
これを受け、国防科学技術大学・衛星測位センターは北斗システムへの電波干渉を防ぐ「電磁シールド」の開発に成功した。これは北斗システムの正常な運行に向けた保障となる。
北斗システムを運用することは、中国の軍事費節約にもつながる。国防部(国防省)の研究報告によると、GPS設備を搭載した戦闘機1465機の戦闘能力は、GPS設備のない戦闘機1714機分の戦闘能力に相当するという。両者の差である戦闘機249機分のメンテナンス費は年間約70億ドルに達する。ある専門家は、「北斗システムの建設とカバー面積の拡大が進むに伴い、北斗システムは中国軍の戦闘力と効果を倍増させるだろう」と指摘する。
「人民網日本語版」
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