ラーディ氏:私はこの観点に疑問を呈する。中国の人口ボーナスはまだなくなっていない。中国には依然として数億人の農村人口がおり、技能を持ち、近代的産業に参加できる労働力を大量に有している。中国経済は競争力を失ってはいない。競争力という点から言えば、賃金水準だけでなく、生産量あたりの人件費を重視しなければならない。中国の賃金上昇は突然始まったものではなく、すでに長期にわたり続いている。そして過去10年間、中国の労働生産率も年10%のペースで成長してきた。ゆえに、生産量あたりの労働力コストは実質的にはあまり変化していない。
環球時報:中国は「中所得の罠」に陥りかけているか?
ラーディ氏:私はこの見方も疑わしいと思う。「中所得の罠」に陥った国のほとんどは、1人あたりの平均所得が今の中国よりもずいぶん高い水準に達していた。「罠」は1人あたりの所得が1万-1万2千ドルに達したころに訪れる。ちなみに中国は現在6000ドル前後だ。内需促進の政策が着実に実施されれば、中国は今後10年間は相当高い成長率を維持できるだろう。
環球時報:中国が「日本式の不況」に陥るのではと心配している人がいるが?
ラーディ氏:中国が日本と同じ状況に陥ることはないだろう。日本は閉鎖的で、国外からの移民が大量に流入するのを許さない。日本は1人あたり所得は高いが労働人口が減少しつつあり、経済成長率も低い。中国はより柔軟で実務的な人材政策をとっている。中国は日本と同じ過ちを繰り返さないだろう。
環球時報:高齢化が中国の経済発展を制約する要素となるか?
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