普段は遊んでばかりいる男子学生は真面目に“鉄腕アトム、日本人は勇気だ”と励ます言葉を書いたのです。それらを目にした先生は感激に堪えないようで、彼らと握手しました。すると、一人の男子学生はこのように言いました。“僕がこのようにしたのはすべて先生のお蔭です。先生のようなお年寄りでさえ、日中友好のために駆け回るんですから、僕も小さいことからやって日中友好に少しでも役に立てると思ったんです。”と。先生はじっとその学生の目を見ていましたが、何と言ったらいいのか分からない様子でただ微笑んでいました。
突然、二人の女子学生が、折り鶴が千羽入ったガラス瓶を抱えて教室に入って来ました。話を聞くと、彼女たちは一週間ものあいだ夜遅くまでかかってその一千羽の折り鶴を作ったそうです。中国では千羽の折り鶴を作ったら願いが一つ実現できるという言い伝えがあります。だから彼女達は苦労して作ったのです。その願いは被災された方たちへの祈りだと分かりました。それらの折り鶴はゆっくりと飛んで海を渡るでしょう。そして、私たちの祈りも日本に届くと信じています。
その日の午後のことは、学生が楽しそうに寄せ書きしていた様子や、先生が学生たちの寄せ書きをしていた姿を写真に収めていた様子や喜びや笑いとともに一生忘れないと思います。
その後、先生から“皆さんからの義捐金は4月28日に上海領事館に届けました。寄せ書きは、寄せ書きしていただいた様子の写真と共に、5月6日に大船渡市に送りました。”とメールをいただきました。紹介されていたページをクリックしてみて大変驚かされました。写っていたのは、その午後の私達の寄せ書きと寄せ書きを書いている時の写真が日本の大船渡市の避難所に展示されていて、大勢の人が展示の前に立って見ていた場面でした。