国内経済が引き続き低迷していることから、米日欧はひたすら量的緩和政策によって経済を活性化しようとし、馬力を上げて通貨を発行している。また国債を大量に発行して中国をはじめとする発展途上国に購入させ、米国経済の復興を促進しようとしている。こうして債権者たちが米国に貸し出した血と汗のにじむような金(債務)が米ドルの下落にともなって、どんどん目減りして価値を低下させている。
二つ目はインフラだ。自国の通貨が値下がりすると、自国の製品の輸出競争力が高まり、輸出によって国内経済の低迷から脱却することが可能になる。日本などはこのようにそろばんをはじいている。G20の共同声明では“自国製品の国際市場における競争量を高めるために自国通貨のレートを引き下げることはしない”としているが、国際競争の中では誰もが賢く立ち回る。このため米ドル、円、ユーロが値下がりすれば、各国の通貨も相次いで切り下げを競うようになり、通貨の過剰発行の戦いに巻き込まれることになる。インドの中央銀行はこのほど9カ月ぶりに通貨を緩和し、金利の引き下げを発表し、その他の発展途上国は混乱の渦に巻き込まれている。
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