ビル・ゲイツ氏が開発したOSは、パソコンを一般家庭に普及させた。同氏はマイクロソフトの経営から身を引くと、慈善事業で異彩を放った。しかしメキシコは、世界一の長者が誕生したことによる利益を受けていない。スリム氏が保有する通信大手アメリカ・モービル(本社はメキシコ)は、メキシコの通信市場を独占している。経済協力開発機構(OECD)が発表した報告書によると、2005-2009年に、通信部門の競争力不足によりメキシコの国民経済が被った損失は、年平均でGDPの1.8%に達する。スリム氏は偶然にも2010年に、ビル・ゲイツ氏に代わり世界一の長者となった。
-不動産業に資産が集中
同番付によると、大中華区の長者の業種のうち、不動産業が28.4%という圧倒的な比率により首位となった。過去14年間の胡潤中国長者番付を振り返ると、不動産業の資産創出能力は、2012年に製造業に抜かれたことを除けば、常に首位をキープしている。
しかし不動産業が今回首位に返り咲いたことは、統計対象の変化によるものだ。特に香港の長者が同番付に組み入れられると、不動産業の長者数が急増した。中国大陸部のランキングだけを分析すると、不動産業の資産創出能力はやや低下した。
2013年の胡潤世界長者番付のうち、263人の中国大陸部の長者が入選しており、そのうち75人が不動産業を本業としている。2012年の胡潤中国長者番付の上位263人の長者のうち、不動産業を本業とする長者は88人に達していた。数はやや減少したが、75人と88人の間には大きな開きがない。不動産長者の1人平均の資産総額が増加しており、同業界は“誰もが利益を獲得できるわけではない”という、新たな統合を迎える可能性がある。