
朝鮮冷麺は、朝鮮の伝統的なグルメとして人気である。平壌市内の冷麺専門店は年中を通して、どこも大盛況である。中でも特に人気が高い店も多く、玉流館、清流館、蒼光院冷麺館や、外国人の間で評判の高麗ホテル冷麺館などがある。
朝鮮人は冷麺を愛して止まない。朝鮮の人々にとって、「麺」と言えば「冷麺」のことであり、温かいスープの麺の方を区別するために「温麺」と呼ぶ。中国の伝統的な習慣として、友人に結婚の時期を尋ねるときには「いつ、喜糖(結婚式で配るお祝いの飴)が食べられる?」と聞くが、朝鮮では「いつ、麺が食べられる?」と聞く。朝鮮では結婚の時に親しい友人に冷麺をおごる習慣があるのだ。
冷麺の食べ方にもこだわりがある。中国で一般的に知られている冷麺は酸味のきいたキムチ風味のスープに歯ごたえのある細い麺が入ったものである。朝鮮族が多く住む吉林省の延吉市の冷麺は夏の人気メニューだ。朝鮮の本場の冷麺は一味違う。牛肉で煮込んだ出汁が麺スープのベースになっており、麺は茹でた後に冷水に放してから盛り付ける。その上にカクテキやキムチ、コチュジャン、牛肉、錦糸卵、ささみなどの具材をのせていく。そして、最後に欠かせないのがスライスした梨を盛り付けることである。お酢やからしを加えて食べるのが一般的に好まれており、濃厚で爽やかな味わいである。朝鮮冷麺は好みに合わせて、麺の多さを調整することもでき、刺身冷麺や焼肉冷麺など種類も豊富だ。
朝鮮の首都平壌市にある最高級のホテル、高麗ホテルは短期滞在している外国人が好むグルメスポットである。1階のレストランの冷麺が人気であり、平壌に滞在する外国人は「冷麺と言えば高麗ホテル」である。長きにわたって名声を博し、外国人だけでなく、平壌市民からも愛されているここの冷麺は、他のレストランに比べ味が濃厚で、より出汁が効いている。具材も豊富で、麺の歯ごたえも他とは一線を画しており、これぞ真のグルメと唸らせる一品である。刺身冷麺は脂ののったタラが盛り付けられている。タラ冷麺はクセになる辛さで、麺スープは少なめだが、牛肉の出汁スープが単独で添えられている。
高麗ホテルは冷麺だけでなく、ジャガイモチヂミも特色があっておススメである。朝鮮の伝統的なジャガイモチヂミは一般的には、ジャガイモと小麦粉で生地を練り、真ん中に肉を載せて焼く。高麗ホテルの場合は、ジャガイモでん粉(片栗粉)と香葱でできており、チヂミの表面は艶やかで油っこくない。
どの料理も毎回必ず高麗ホテルで食べられるとは限らない。ツリガネニンジンの鉄板炒めも運次第でありつけるグルメである。見た目はパッとしない料理だが、その香ばしい辛さは絶妙であり、肉のような食べ応えがある。しかし、ツリガネニンジンは油を吸いやすいため、炒め調理されているこの料理もやや油っこい。
色々と紹介すれば切りがないが、平壌を訪れた際にはこれらのグルメをぜひとも味わって欲しい。
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