宮崎駿の引退の情報が伝わると、海外メディアの多くはため息をもらしたが、日本国内ではそうではなかった。宮崎駿の引退に関する噂を聞き慣れた日本人は、今回の引退宣言がこれほど「フォーマル」であったにも関わらず、やはり疑問を抱かざるを得ないのだろう。
ジブリに詳しい人ならば、鈴木敏夫が映画PRの名手であることを知っている。宮崎駿という「切り札」を手にし、鈴木敏夫は自身の映画PR能力をより良く発揮できる。今回の「風立ちぬ」のPRにしても、鈴木敏夫は大胆にも「飢えのマーケティング」の手段を採用した。映画館でなければ新作の予告動画を見ることができず、その他のメディアには完全に非公開にされたのだ。これは鈴木敏夫の宮崎駿という「切り札」に対する信頼を反映している。これを受け「風立ちぬ」は日本で7月20日に上映を開始してから、多くのハリウッド大作の挑戦を受けながらも、7週連続で興行収入1位を記録している。
しかし今回の「風立ちぬ」は、若い女性や子供という観客を失い、興行収入も前作「崖の上のポニョ」に遠く及ばない。鈴木敏夫は、「風立ちぬ」は舞台背景などの内容が「日本化」されすぎており、ベネチア国際映画祭での受賞は非常に困難であることを知っている。ましてや宮崎駿はすでに、同映画祭で金獅子賞を受賞しているのだから尚更だ。「風立ちぬ」のベネチア国際映画祭での真っ二つに分かれる評価もまた、鈴木敏夫の見通しを示した。9月1日の引退宣言は、最高のタイミングだったかもしれない。まず「巨匠の引退」がベネチア国際映画祭の審査に影響を及ぼすかもしれず、金獅子賞を獲得できなかったとしても、審査委員会大賞などの栄誉を勝ち取る可能性がある。次に正式な引退表明により、「風立ちぬ」が宮崎駿の最後の作品となった。日本国内で興行収入が落ち着き始めた段階で、この爆発的なニュースを発表することで、市場全体が刺激されることは間違いない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」
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