安倍晋三首相は3月26日に米ワシントン・ポスト紙のインタビューを受け、旧日本軍の従軍慰安婦について「人身売買(human trafficking)」という表現を使用した。ワシントン・ポストによると、安倍首相は就任後、初めてこの表現を使用した。
安倍首相は3月30日の衆議院予算委員会で、この表現を用いたことを認め、「さまざまな議論がなされている中で、人身売買についての議論も指摘されてきたのは事実だ」と説明した。読売新聞は安倍首相の代わりに、「欧米などのメディアで、首相を『歴史修正主義者』などとレッテルを貼る向きもあり、こうした誤解を払拭する狙いがある」と弁解した。産経新聞も、「従軍慰安婦を人身売買の被害者としたのは、韓国への配慮のためだ」と弁解した。
安倍首相を「歴史修正主義者」とするのは、本当に誤解によるものなのだろうか?これまでの「安倍語録」を読めば、容易に答えを導き出せるだろう。
河野洋平内閣官房長官(当時)が1993年8月4日に発表した河野談話は、「募集、移送、管理等も甘言、強圧によるなど、総じて本人たちの意思に反していた」と認めた。村山富市首相(当時)が1995年8月15日に発表した村山談話は、日本がかつて「植民地支配と侵略」を行ったことを認め、「反省と心からのおわび」を表明した。
しかし安倍首相は2012年8月の自民党総裁選前、「河野談話、村山談話などの歴代政権のすべての談話を否定または取り消す必要がある」と発言した。安倍首相は2014年6月9日の参議院予算委員会で、民主党の江崎孝議員からの質問に対して、河野氏は慰安婦問題で信念を貫かず、後の世代に大きな禍根を残したと述べた。安倍首相が慰安婦を「人身売買」を称したのも、河野談話の否定を目的としていたことが分かる。
慰安婦問題は、日本と韓国のみの問題ではない。1930年代前半に中国の東北地区を侵略してから1945年の敗戦に至るまで、日本軍は中国で慰安婦を強制連行し、数多くの慰安所を設立した。これには人的・物的証拠という揺るぎない事実が揃っている。また慰安婦問題は戦後に残された問題となり、特に1992年に慰安婦対日集団訴訟が始まると、国際社会から広く注目され支持を集めた。世界反ファシズム戦争勝利70周年を記念する今日、安倍首相は慰安婦の強制性を否定する言行を見せた。これは「歴史修正主義」に属するばかりか、中韓両国の民族的感情を傷つけ、かつ世界の正義に挑戦し、人類の良知を覆している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」
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