第二に、中国の外貨準備には米ドルが大量にあり、米国が無責任な金融政策を採ったために、中国の米ドル建て外貨準備は重大な損失を被った。米国政府は量的緩和に基づく金融政策を引き続き実施することは他国に損害を与え、かつ自国にも利益にならないことだと気付いているので、金融政策を少しずつ調整してはいるが、全体としていえば、米国の経済はいまなお信用経済に属しており、米国経済の発展の過程で重大な外部性をもつようになっている。もしも中国が大量の米ドルを保有し続ければ、中国の外貨準備は巨大なリスクを抱えることになる可能性がある。そこで中国政府は一方では外貨運営のリスク引き下げを検討し、外貨構造を早急に改善する必要に迫られている。もう一方では適切な対策を取って、外貨管理の問題で米国からの制約を回避する必要に迫られている。これはつまり、中国が貿易バランス政策を追求すれば、米ドルが減少するということだ。外貨準備のリスクを軽減するためにも、米ドル建ての外貨準備を大量に減らす必要があるということだ。
第三に、中国は目下、国際金融秩序の再編に取り組み、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設準備を進めているが、これはまだ始まったばかりで、中国は今後、保有する膨大な外貨準備を十分に利用して、多国間金融機関を設立し、中国が主導あるいは関与する国際金融機関を通じて投資の国際化を実現させる。中国が国際金融機関を設立するには大量の外貨が必要で、こうした状況の下で中国政府が米国債を減らすのは理にかなっている。
第四に、人民元の国際化により、中国には適切な貿易赤字を抱えることがある程度求められるようになった。そうしなければ他国の人民元の備蓄を増やすことはできないからだ。理論的にいうなら、人民元国際化にはいろいろなルートがある。貿易赤字を増やすことで、他国の人民元保有量を増やす、これは比較的実行しやすいやり方だ。当然のことながら、中国が新たに創設された国際金融機関で人民元建て決済を実現することができれば、人民元国際化の道はさらにスムーズなものになる。ここ数年来、中国はさまざまな国と通貨スワップ協定を結んでおり、これは客観的にみて中国の米ドル依存の軽減にプラスになることだ。
「人民網日本語版」
|