日本メディアの報道によると、日本の大手銀行・三菱東京UFJ銀行が今月24日に日本国内の機関投資家向けに3億5千万元(約70億円)の2年もの人民元建て債券を発行する計画だという。実現すれば日本初の人民元建て債券発行となる。一財網が伝えた。
同行はこの情報を認めており、6月に人民元建て債券を発行するのは、4年前の2011年12月に行われた中日首脳会談での約束を踏まえてのことだとしている。
アナリストは次のように指摘する。在中国日本企業の多くは、円安により日本企業のコストが大きく跳ね上がったため、日本国内で債券を発行して資金を調達し、コスト削減をはかろうとしている。債券の収益率は日本国債の利回りを大幅に上回ることが予想され、中国が進める人民元国際化の方針にも合致することになる。
▽日本初の人民元建て債券日系企業の資金不足を解消
同行は中日両国が債券発行計画を話し合ってから3年半後に日本で初めて人民元建て債券を発行する実体機関となる。債券の利回りは香港地区で発行される人民元建て債券(点心債)を参考にする予定で、人民元建て債券は直近では3%の利回りで流通している。
アナリストは、「今回の動きは日本の機関投資家や企業にとっては大きな好材料だ。日本の2年物国際の利回りはわずか約0.1%で、円はここ数年大幅に値下がりしている。これに比べ、人民元の利回りは相対的に堅調で、最近の動きもますます好調で、3%の利回りは十分に魅力的だ」と話す。
より重要なことは、日本の企業をはじめ各方面が人民元国際化を通じた回転・決済コストの引き下げに期待していることだ。日本は目下、中国にとって2番目の輸出先国であり、2番目の輸入先国だ。同行にとっては、今回の人民元建て債券発行により中国に進出した法人顧客などに人民元資金調達の手段を提供できるようになり、資金調達コストの引き下げにつながる。
14年に日本の対中投資資金は前年比38.8%減少し、2年連続で減少したが、日本企業のほとんどが中国からの撤退はないといい、投資減少の原因は主として人件費の上昇や日本企業の対東南アジア諸国連合(ASEAN)投資ニーズの高まりといった投資環境の変化にあるとしている。日本企業は輸出を国内消費に転換させる、その他のコストを削減するなどの戦略で、中国市場に対応しつつある。
実際のところ、日本の今回の人民元建て債券発行は外部で感じられたほど意外なことではなく、4年前の約束を果たしただけのことだ。11年12月の中日首脳会談で、金融協力強化のための重点措置として、中日双方が東京市場における人民元建て債券の発行を提起している。ただ発行はまだ実現していなかった。
最近何回か行われた中日財務相対話で、中国財政部(財務省)の楼継偉部長は、「財政・金融分野でのこれまでの協力の成果を土台として、関係を持続的に改善するために、新たな金融協力をうち出す必要がある」との見方を示し、日本で、日本の銀行などが人民元建て債券を発行する、人民元と円との直接交換を推進するなどの措置を通じて、中日間の金融協力を拡大することを提起した。
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