中央銀行(中国人民銀行)が8月11日、人民元の対米ドルレート基準値設定メカニズムの改善を発表すると、同基準値は11日に2%弱、12日に1.6%低下した。この動きは、西側諸国から注目されている。一部の西側メディアは、元安が新たな通貨安競争を引き起こすと判断した。米財務省は同基準値切り下げの決定について、11日に声明を発表した。
米財務省の報道官は8月11日、中国人民銀行が輸出促進を目的に同基準値を切り下げたことについて、「市場重視の相場制に背くすべての措置は不安な動きだ」と表明した。直接的な批判を避けると同時に、今後の中国当局の動向に注目する姿勢を示した。
中国の今回の相場調整は米国に向けられたものではなく、新たな通貨安競争を引き起こすこともない。中国対外経貿大学の丁志傑氏は、「海外メディアの通貨安競争とは、元安の傾向を受け、ユーロ、円、カナダドルなど他国の通貨も為替操作を行い、世界的な通貨安競争を引き起こすことを指している。中国が通貨安競争を意図的に引き起こすことは絶対にない。根本的に見て、中国が実施しているのは為替制度の改革だ。今回の改革は市場化をもたらした。市場が決める相場調整によって、この2日間で元安が生じた。しかし注意すべきことは、中国が長期的な元安の傾向を形成しようとしておらず、いわゆる通貨安競争を引き起こすつもりなどないことだ」と指摘した。
米大統領選候補者、共和党のトランプ氏は、中国による元安は米国にとって「壊滅的」だと述べた。トランプ氏のこの説は正しくない。2010年より、世界の通貨の相場が米ドルに対して下落する状況下、人民元は米ドルに対して10%の元高となっていた。人民元の実効為替レートは、今年上半期で2.95%上昇していた。また火曜日のオンショア市場の1ドル=6.3231元という終値は、基準値を約1.5%下回った。同日のオフショア市場の為替相場は2.8%安、1年物ノンデリバラブル・フォワード(NDF)は3.5%安で、市場の元安の大きな需要を反映した。元安が市場の選択であることが分かる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」
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