ドイツ紙「ビルド」は7日、「世界旅行にもう行った? あなたの靴はもう行った」という記事を掲載した。主な内容は次の通り。
ドイツ人は毎年、2足の靴を買うという。子どもの頃の美しい記憶も子ども靴の「Lurchi」とは切り離せない。だが時間はすべてを変える。街角の多くの靴屋はもうとっくに店を閉め、多くのドイツの靴ブランドも姿を消してしまった。1950年、ラインラント=プファルツ州だけでも500社の靴製造会社があった。だが今は全ドイツで39社だけである。「メイド・イン・ドイツ」に取って代わったのが「メイド・イン・チャイナ」である。スリッパかサンダルの2足につき1足は中国から来たものである。
我々の多くの靴は中国の温州で製造されたものである。この900万の人口の港湾都市は「世界の靴産業の都」と呼ばれ、世界で最も多くの靴を生産している。商品番号「1110183」の靴の足取りをたどってみよう。この靴は、同地の金帝公司が製造したものである。この会社には7500人の従業員がおり、昨年は約1500万足の靴を生産した。エッセンに本部を置くドイツの靴産業大手の「ダイヒマン」は同社の大型顧客である。
ダイヒマンの靴で最も高い皮靴は79.90ユーロで、ほとんどの靴の価格はこれよりずっと安い。低価格は、時代の潮流に適応するためのものである。靴に対しては、我々ドイツ人は安いのが好きで、新しい靴で受け入れられる平均価格は20ユーロにすぎない。
低価格を実現するための唯一の選択は中国で生産することだった。データによると、中国で生産される靴の1足当たりの平均価格は昨年6.53ユーロだった。イタリアで作られる靴は1足当たり平均30.23ユーロする。
商品番号「1110183」の靴はまず、メーカーから寧波港に送られる。そこから貨物船で台湾海峡、シンガポール、スエズ運河、地中海を経て、ハンブルクに到達する。靴はそこから貨物車で各靴店へと運ばれる。世界旅行にはお金がかかるものだ。だが靴の世界旅行はそうではない。中国からドイツまで、40インチ(1インチは2,54センチメートル)のコンテナの運送料は1150ユーロである。靴1足当たりの海運代金は16サンチームにすぎない。発注から生産、到着まで1年近くの時間がかかった。この商品番号「1110183」の茶色い靴は、女性客に29.90ユーロで購入された。
靴の旅路は今後、さらに短くなるかもしれない。すでに最初の中国の靴メーカーが生産拠点をアフリカに移転している。労働力コストがさらに安いためである。例えばエチオピアの一人当たりの平均年収は570ドルにすぎない。中国人なら1カ月の収入である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」
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