中国の通貨・人民元は30日、国際通貨基金(IMF)のSDR(特別引き出し権)構成通貨に正式に採用された。メディアなどを対象に中国人民銀行(中央銀行)が30日に開いた情報連絡会議で、人民銀副総裁、国家外匯管理局局長を務める易綱氏は、SDR採用で人民元安が進むことを懸念する必要はないとの見解を示した。SDR入りした後も、中国は引き続き金融改革・開放を推進すると強調している。
易綱氏は、「人民元がSDRに採用された後も、中国の金融改革・開放が減速することはない。中共の第18期中央委員会第3回会議、第5回会議の方針に基づき、改革・開放を全面的に推進する」と述べた。
SDR採用後の人民元安に対する懸念を払拭。易綱氏は、「懸念する必要はまったくない。中国経済は中・高速の成長が続いており、成長の勢いにも変わりがない。貨物貿易で比較的大きな黒字を維持しているほか、海外から中国への直接投資(FDI)、中国から海外への直接投資(ODI)はともに伸びている。外貨準備も潤沢だ。こうした状況から、人民元安が進む理由はないと言える」と指摘した。
その上、「中国の為替制度は、市場需給を基盤に、通貨バスケットに連動した管理変動相場制度。SDR入りで基本的な為替制度は変更しない。基本的な為替を維持しながら、市場化改革と体制の整備をさらに推進する」と述べた。
資本流出の懸念はない、国際収支のモニタリングを強化
人民元がSDRに採用された後、人民銀が介入を緩め、中国からの資本が流出することも市場では懸念されている。これに関しても、易綱氏は「懸念する必要はない」としている。「SDR入り後も、為替レートの形成メカニズムは変わらない。人民銀は市場化改革を引き続き推進する」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」
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