中国科学院予測科学研究センターは5日、中国の2016年経済予測を発表した。16年の中国経済は安定成長を維持し、GDP(国内総生産)成長率が15年を0.2ポイント下回る6.7%前後になる見通し。高い関心が寄せられている不動産価格に関し、リポートは16年の商品房(分譲物件)平均販売価格が1平方メートルあたり前年比3.9%上昇の7010元で推移するとみている。
リポートによると、不動産市場調整策の影響を受け、15年上半期に不動産市場の取引件数が大幅に減少。下半期に入ると、市場浮揚や在庫解消を図り、調整策が徐々に緩和されるなか、市場は回復に向かいつつある。
16年の不動産市場について、中国科学院予測科学研究センターの楊翠紅・研究員は、「先行きを影響する要素は複数ある」と指摘。16年は需給の両面から改善の兆しが表れる。供給面で、適度な金融緩和により市場の流動性が拡大し、分譲物件の販売拡大にともない、不動産開発企業の資金繰りが改善する。また、積極的な財政政策を講じる中国政府が、国民生活の改善に向けて保障性住宅(低所得者層向け住宅)やバラック地区の改造といったプロジェクト建設を強化することで、新規着工面積などの指標も好転する可能性がある。需要面では、貸出政策の緩和を受け、不動産購入者の支払い能力が上昇し、不動産の購入意欲が高まる。在庫解消に向けた措置も、不動産取引の成約率の向上に繋がる。
長期的には、総人口、人口伸び率、人口構造、人口の移転といった要素が、不動産市場の発展や潜在的なリスクを大きく左右する。新型都市化の推進も、不動産市場の需給関係、需給構造、需給バランスなどと緊密な繋がりがある。中国の不動産価格は長期的な上昇トレンドにある。不動産政策の推進において、不動産登記制度や戸籍制度改革に重点が置かれる。「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)戦略と「京津冀(北京市・天津市・河北省)」一体化戦略の推進が、不動産市場の全面的な発展を促進する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」
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