ジャスロン代表笈川幸司
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アニメによくあるシーン
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昨年5月、日本語学科を卒業した教え子たち(OB,OGの皆さん)を集め、六次会を開催した。“六次会?”と聞いた瞬間、意味がさっぱりわからなかったので、恥を忍んで教え子にたずねてみると、知り合いの知り合いの知り合いの…と六人目まで辿って行くと、世界中のすべての人と知り合えるという。世界中の人と知り合える会、ということで、六次会と名付けられたそうだ。
その六次会に、実際は笈川特訓班に参加したことがなかったひとりの学生が来てくれた。うれしいことに、大学四年間ずっと応援してくれていたらしく、わざわざこの会に参加してくれたのだ。そのとき、紹介してくれたのが浮世絵外交をしている平井正昭氏だ。
平井氏は日本国際芸術文化協会の副理事長で、浮世絵を持ち歩いては、大統領や首相、国王に浮世絵を寄贈し、世界の要人たちと対等に渡り合っている。東日本大震災時には、毎日命がけで現地へ赴き、大量の物資を運んでいた。
今回は浮世絵の素晴らしさを中国の若者に伝えてもらうため、清華大学に招待した。中国の若者とは、清華大学アニメ協会“次世代”の学生たちだ。ここで、“次世代”について紹介する。
2000年9月、清華大学でアニメサークルが誕生した。今とは違い、当時は大学でサークル活動をする学生はほぼ皆無、次世代は特異な存在だった。彼らは当時、自転車にテレビ2台を積んで校舎に運び、大教室に集まった150名ほどのアニメファンが2つに分かれて最新アニメを楽しむという、現在(12年しか経っていないが)では想像もできない“可愛い”ことをしていた。今の中国なら、日本の最新アニメはパソコン一台で見放題だ…。ちなみに、当時はDVDレコーダーを買う予算がなく、中古のVCDレコーダーを使用していた。
ところが状況は激変する。アニメ好きが集まるととんでもないことをしでかすのだ。2006年から、次世代は毎年8月に東京ビックサイトで開催されるコミケ(コミックマーケット)に、自分たちがつくった同人誌を売るという離れ業をやってのける。6年前に中国人大学生がコミケに参加するのは珍しかったため、日本のメディアが毎日報道していた。