(二)金利の市場化加速に伴い、商業銀行の預金コストが増加し、貸付事業の構造調整および金利水準の市場化が課題となる。これらの課題は、銀行業の営業収入の増加を制約する重要な要素となる。世界の経験に基づき判断すると、中国の金融分業経営制度という環境において、利益を求める資金は各市場の投資収益率の変化に基づき市場をまたいだ調整を必要としており、大規模な金融機関離れが不可避となる。金融機関離れは往々にして、商業銀行の金利差益の縮小と同時に生じる。資本項目の管理・制限を前提とし金利市場化を推進する国では、銀行業の金利差益も縮小される場合が多い。現段階の利息純収入が営業収入の80%以上を占める中国銀行業にとって、金利差益の縮小は収益力に重傷を与えるだろう。
(三)利息以外の収入の拡大は、主要国の商業銀行が金利市場化に対応する重要な措置だ。しかし中国の銀行業は現在、監督管理部門の有料項目に対する規範化、取引手数料の引き下げに直面しており、経営モデルチェンジおよび利息以外の収入拡大に対する圧力が深刻化している。また大型商業銀行が2012年第1―3四半期に報告した、仲介業務収入の前年同期比増加率が大きく低下し、中にはマイナス成長に陥った銀行もあった。これは監督管理による負の影響が集中的に出現していることを、ある程度示している。
(四)指導層は工業化・都市化・農業現代化という「三化同歩」戦略を調和的に推進しており、大規模な投資・金融サービスの需要が生まれる。中国国家発展改革委員会と国連の予想によると、2020年までの新型都市化により、25兆元以上の投資・消費需要が創出される。しかし「新型都市化」は都市群(特に中小都市)のインフラ整備を支柱とし、戦略的新興産業の集約化発展による新型工業化を原動力とし、農業現代化の支援を拡大しようとするだろう。中小都市、新興産業、「三農」(農業・農村・農民)は、新型都市化の建設の過程において、最も重要な融資・金融需要の主体となる。残念ながら、これらの主体は全体的に「素養」が低い。現行の体制内で公式金融機関は「コスト―収益」に基づき考慮するため、分散的な資金需要に対する支援に消極的だ。推算によると、中国の銀行業は一定規模・基準額以下の企業向けの融資比率が5%に達しておらず、先進国の54%という水準を大きく下回っており、かつ一定規模以上企業向けの融資比率を約25ポイント下回っている。現行の金融システム・金融機関は、新型都市化がもたらす金融需要を目前にしながらも、売りやすい商品・サービスを開発しておらず、収益率と成長性の大幅低下は自然な流れだ。