先進国の相次ぐ為替操作が、輸出を主な原動力とする新興国に与える影響は言うまでもなく明らかだ。一部の発展途上国は、1930年代の保護主義的な貿易戦争の再演、流動性の氾濫が本国実体経済に衝撃を与えることを懸念している。先ほど閉幕したG20会議は、為替操作の競争を避けることで一致した。中国財政部の謝旭人部長もG20会議で、「先進国は財政調整・経済回復の関係を適切に処理し、短期的な経済成長を促すと同時に、中期的な財政の持続性を確保し、かつ量的緩和策による外部へのマイナス効果を低減するべきだ」と発言した。
中国社会科学院世界経済所国際投資室の張明副主任は、円安による影響は次の3つにまとめられるとした。(1)他国に相場上昇の圧力を及ぼし、為替相場を巡る戦争が発生し、貿易摩擦がエスカレートする可能性がある。(2)世界の短期的な資本流動の規模と変動性を拡大する。(3)世界のエネルギー資源・大口商品価格が高位を推移し、中国を含む国家に輸入インフレの圧力をもたらす。
中国国際金融有限公司(CICC)の彭文生シニアエコノミストは、「人民元の対円レートが20%上昇すると、中国の実質実効為替レートを約1.5%引き上げ、中国の実質的な輸出額を2.5ポイント引き下げる可能性がある。しかし中日二国間貿易において、対日輸出の重要性がすでに大幅に低下しているため、円安が中国の輸出に与える負の影響も減少している」と分析した。
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