その瞬間、会場から雷鳴のような拍手と大きな歓声が一斉に上がった。ぎこちない中国語の「谢谢(ありがとう)」という声も聞こえた。新郎新婦もこの思いがけない祝福に感激した。新婦は手を口に当て、涙を浮かべていた。新郎は何度もお辞儀し、感謝した。その後、同行した李総領事と中村知事からも祝福の言葉が送られた。このとき、程大使は用意していたパンダのぬいぐるみをこの見ず知らずの日本の普通の夫婦にプレゼントした。新郎新婦はかわいいぬいぐるみを持って非常に喜んだ。
結婚披露宴の進行を邪魔しないように、祝福の言葉を述べると大使たちはすぐに会場を去った。それにもかかわらず、会場の歓声はその後も遠くまで響いていた。
実は中国の高官が日本人の一般夫婦を祝福したのは今回が初めてではない。35年前の1978年10月28日、中日平和友好条約が締結された年、条約調印で日本を訪れていた鄧小平氏と卓琳夫人は奈良ホテルで昼食をとっていたとき、隣の宴会場で開かれている披露宴に関心を持った。鄧小平氏はうれしそうに披露宴会場に入り、新婚夫婦を祝福した。鄧小平氏と新婚夫婦が握手する写真は翌日の「読売新聞」に掲載され、すぐに中日友好の美談になった。
35年後に似た光景が日本の長崎でまた起こるとは思っていなかった。このあと、李文亮総領事は記者に対し、「これらの中日交流史における心温まるエピソードは歴史に刻まれたり、広く知れ渡ったりすることはないかもしれないが、人々の心にまかれた種はいつか芽を出し花を咲かせ、次々と実を結ぶと信じている」と語った。(筆者:徐静璇)
「中国網日本語版(チャイナネット)」
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