「漢字を中国から輸入したことにより日本の文化が飛躍的に発達したという事実、近代に至り西欧の文化を吸収するための日本語の新造語、新単語は日本で作られたが、それを中国が10万人に及ぶ留学生を日本に派遣し持ち帰りそのまま中国で使い出した。このためこれらの単語、熟語無しには現代中国語が成り立たないという事実。
本書は日中問題をもう一度日本語と中国語という言葉、文字の問題にまでさかのぼって検証し、今後の日中問題をどう解決すべきかという大問題について問題提起の一助となればと筆を執った」と、著者は本書「はじめに」で述べている。
一般的な文化論でなく、漢字という観点に絞りつつ、日中関係の歴史から文化、そして現在の日中関係までを検証した非常にユニークな一冊である。人生丸ごと中国語と関係してきたような筆者の体験なども絡めつつ展開する文章は、少々口が悪いが、日本・中国、双方に対しての愛情があふれている。
著者の松浦喬二氏は、1937年、満州国吉林省生まれ。1945年に大連で終戦をむかえる。父が鉄道技術者だったため、1953年まで中国に留まる。日本の高校、大学を卒業し、英国系出版社に就職するも1980年に倒産。1982年自らの原点に立ち戻るべく単身中国へ。コンサルタント会社(株)槐樹を設立し、多くの日本企業の中国進出に顧問として携わっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」
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