三本目の支柱は、民間投資を喚起する成長戦略の制定で、技術・雇用関連の投資を拡大し、日本の産業を振興する。しかしこれは容易なことではない。長期的に見て、日本経済がプラス成長を取り戻すためには、国内の労働生産性と産業の競争力を高め、経済の潜在的な成長率を引き上げる必要がある。そのためアベノミクスの三本目の支柱は、日本経済復興を左右する鍵になる。日本経済の問題は非常に複雑で、デフレの他にも長期的に蓄積されてきた少子高齢化など先進国共通の問題があり、また地震や津波などの自然災害による制約が存在する。これらは単純な経済現象、周期的現象ではないため、単一的な経済措置により改善できるものではなく、大胆に全面的な改革を実施しなければならない。
アベノミクスの三本の矢のうち、一本目と二本目はすでに放たれ、実施計画がすでに整い、実体経済の中で実施を始めている。今年の中頃に放たれる予定の三本目の矢については、大まかな内容が見えているだけで、詳細内容については知られていない。三本目の矢は市場から余り注目されていないが、アベノミクスの勝敗の鍵になる。成長促進戦略の重要性は、日本が20年に渡り直視してこなかった構造改革(労働法の緩和、国内市場の解放、経営管理およびコストなどの減少)の実施にある。
構造改革は既得利益や産業保護の敏感な分野に関連する。安倍首相を含め、日本の歴代首相は構造改革の実施を約束したが、力強く推進されることはなかった。また安倍首相の自民党はビジネス界および農業機関と緊密なつながりを持つため、三本目の矢の効果が疑問視されている。小泉純一郎内閣で経済財政政策担当大臣と金融大臣を務めた竹中平蔵氏は、「私が就任していた4年半の期間に、経済成長戦略を制定したことは一度もない。私が退任してから7年間で、日本は7回に渡り経済成長戦略を制定した」と述べた。しかしその後、日本の経済成長率は低迷を続けた。これは表面的な経済成長戦略では、日本経済の発展を促せず、日本には真の経済改革が必要であることを示している。
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