いわゆる「民間投資の刺激」は、民間投資の刺激を柱とする経済産業成長戦略により、技術および雇用関連の投資を拡大し、日本の産業を振興させる計画だ。これはなるほど実務的な「矢」と言える。古い経済大国である日本は、少なくとも民間投資の重要性に気づいたようだ。経済発展を促すイノベーションと科学技術の進歩は、民間投資に秘められている。
科学技術のイノベーションは、経済発展の原動力の源泉だ。これは先進国の経済発展によって裏付けられている。ところがそれは、日本経済にとって不足している要素だ。科学技術はかつて、戦後経済の発展に大きな推進力をもたらした。しかし日本の科学技術は模倣に成功しただけであり、自国の科学技術イノベーション能力を形成していない。科学技術の模倣があれほどの成功を収めたのは、西側諸国の強国が戦後、長い科学技術の「停滞期」に入ったからだ。
1980年代、欧米の先進国が新しい科学技術イノベーションの段階に入ると、日本はその歩みに追いつけなくなった。パナソニックなどの大手電機メーカーは最先端領域から、洗濯機や掃除機といった家電のカウンターに追いやられた。科学技術力の弱体化は、日本製品の目立った特徴になっている。「科学技術強国」が、科学技術の遅れに足を引っ張られるという結果は、日本が避けたかったことだ。しかしこれは事実であり、日本経済の回復の根本的な課題である。
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