国務院の李克強総理はわずか1カ月ほどの間に3回にわたって「ストックの活用」に言及した。ここから政策決定層が経済成長ペースの許容度を引き上げると同時に、貸出の放出を増やして経済成長を刺激する「粗放型」の発展モデルの採用に慎重であり、金融市場内部の調整によって金融効率を引き上げる必要があることを強調していることがわかる。
金融資源のストックを活用して実体経済を活性化させるには、金融産業へ参入のハードルを引き下げることがカギであり、実体経済が利益を得る可能性を広げることが根本にある。
ストックをどう活用するか。関連の制度の改善を通じてストック資金の方向性を調整し、迷える資金を誘導して「干上がった」実体経済に流し込み、金融資源の活用と実体経済の活性化が相互に作用しあってより大きな成果を挙げるようにすることが必要だ。
金融資源のストックを活用して実体経済を活性化させるためのカギは、金融産業参入のハードル引き下げと高効率の多層的な資金調達ルートの敷設にある。中国の金融の配置ミスの主な原因は、大手銀行が主導する金融市場の局面と小規模・ミクロ型企業が主体の企業の構造・システムとが釣り合わないことにある。このため多層的な金融システムの構築を通じて、大規模・中規模金融機関と草の根の金融機関、商業金融、政策金融がともに共存するようにし、「大樹」もあれば「一本の草」もあり、大手銀行という「巨象」もいればミクロ型企業という「小型動物」もいる多元的な金融の生体システムを形成することが必要だ。現在は、より多くの中小規模の金融機関を設立し、民間資本を積極的に吸収して金融機関の改革や再編に参与する必要がある。
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