葛靄さんは2児の母親である。以前雑誌の編集の仕事をしていたこともあって、数年前から子どもたちに絵本を読ませていた。7歳になる長男はこれまで1000冊以上の絵本を読んできた。しかし中国のオリジナルな絵本はとてもわずかだった。「中国の子どもたちにとっては、中国の伝統文化を題材とした絵本が必要です。昔話や神話などに子どもたちはとても興味を示します」と彼女はいう。
現在ポプラ絵本館が出版している中国オリジナルの絵本には、現代的な面白味を加えた『悟空、やっぱり君が大好き』のほか、冰心の『小橘灯』や魯迅の『たこ』『百草園から三味書屋へ』、朱自清の『蓮池の月』などの古典がある。老舎の『北京の春節』も最近中国の画家の于大武によって出版された。ただ日本の絵本が中国で大きな人気を呼んでいるのに比べて、日本へ輸出される中国の絵本は数えるほどしかない。
▼いつの日か中国にもトップレベルの絵本作者▼
ポプラ絵本館で最も売れているのは、佐々木洋子が書いた『子ぐまの赤ちゃん』。これまで1000万部以上売れている。ここ10年近くで400余りの種類の本が出版されたが、そのうち日本の絵本は4分の1近くを占める。
一方、中国の絵本で日本語に翻訳され日本に輸出されたものは、2005年に初めて作られた『ヤンヤンいちばへいく』のほか、これまで『北京、中軸線上につくられたまち』や先の『悟空、やっぱり君が大好き』『蓮池の月』ぐらいしかない。
ここ数年、中日関係に問題が起きる中、ポプラ絵本館が出版した平和を題材とした絵本も話題を呼んでいる。『迷劇・秦淮河1937』や『火城1938』はそれぞれ抗日戦争における南京と長沙の被害を扱っている。これらはいずれも中国のオリジナル作品である。
子どもに戦争をテーマとした絵本がふさわしいかどうかについて疑問をもつ人もいるが、石川さんは「子どもに平和を説明するのはとても難しい。しかし絵本に国境はない。いつの日か、中国のオリジナルな絵本が世界に発信され、世界のトップレベルの絵本作者が生まれることを私は願っている」と語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」
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