教科書によって領土意識と「被害」意識を強化し、中韓と対抗する思想を教え込む。今回検定された社会科系の全ての教科書(地理、歴史、公民)および今春から使用する小学校の社会科系の全ての教科書が、中国の釣魚島を日本のいわゆる「尖閣諸島」および「固有の領土」と記している。日本の台湾植民地支配期の植民開発行為が、なんと釣魚島が日本のものであるいわゆる「根拠」とされている。日本の子どもたち全体に早くから誤った概念と教育を受け入れさせるものだ。このうち独島(日本名・竹島)については「韓国が不法占拠している」と記している。これは現在の日本と中国、韓国との関係を直接的に損なうだけでなく、長期的な害がある。
教科書検定の新規則によって教科書の政治的右傾化誘導を固定化するとは、後顧の憂いが絶えない。1982年に当時の鈴木善幸内閣の宮沢喜一官房長官は、日本の教科書問題を適切に処理するため、「近隣国の批判に耳を傾け、政府の責任において是正する」と表明。日本文部科学省も、教科書検定にあたり「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに必要な配慮がされていること」と定めた。「近隣諸国条項」である。日本右翼勢力はこの規定を覆そうと企て続けてきた。昨年1月、安倍内閣は教科書検定の新基準を定め、近現代史を扱う際にいわゆる政府見解に基づく記述を尊重するよう求めた。また「学習指導要領」に基づき、釣魚島を日本「固有の領土」として教科書に記さなければ、検定で不合格となる。
安倍内閣の教科書問題における規則から具体的記述までの全面的な後退は、決して単独の出来事ではなく、危険な傾向であり、国際社会の警戒を招くのは必至だ。
「人民網日本語版」
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