中日関係がぎくしゃくし、中国人の対日感情が悪化すると、中国で「日本製」の不買運動が起きることがある。しかし、その不買運動の対象にはならないものがある。日本の美少女文化である。桜や相撲、生け花、茶道と同じように、美少女文化は日本の文化・経済・人間性などを表していると考えられる。
▼「可愛らしさ」が王道
日本の現代カルチャー作品に触れた人はそこに美少女文化があふれていることに驚く。作品にはさまざまな美少女が登場する。超能力を持った主人公が縦横無尽に活躍したり、男性の主人公を引き立てたちしている。いずれにしてもストーリーに欠かせない彼女らの姿は一度見たら忘れられない。キャラクターは女学生、くノ一(女忍者)、箱入り娘、昔のお姫さま、魔法使いまで数多くある。
しかしキャラクターは変わっても、彼女らの大きな目や可愛らしい顔や体型はいつも同じである。思考スタイルもわかりやすく、聖母のような母性愛があるのも特徴だ。それ以上に重要なのは年齢が子どもと成人女性の間であることだ。日本では高校生の年代に当たる。アニメであっても映画であっても、可愛い小さな女の子であることが最大のセールスポイントである。日本では色っぽさやセクシー系は邪道である。ロリ(可愛らしさ)こそが王道なのである。そこに「天然さ」が加われば申し分ない。
ウィキペディアによると、日本神話に登場するイザナギも美少女に逢って喜んだとされる。また美少女という言葉が今のように使われるようになったのは、太宰治が短編小説「美少女」を書いてからだという。日本の無頼派文学を代表する太宰は、当時自分を「排除の反抗」の時代の「市井の小説家」と位置付けていた。太宰のこのような思考がその後の日本の美少女文化の発展の源になったのかもしれない
▼地方には地方のミスコン、学校には「ミスキャンパス」
日本には「全日本国民的美少女コンテスト」というものがある。日本全国から明日のスターを発掘する権威あるコンテストである。25年前から不定期に開催され、最近は3年に1回行われている。参加できる年齢は12歳から20歳までで、2012年の第13回コンテストには10万人以上が応募した。
また日本には1000以上の大小さまざまなコンテストがある。全国レベルではミス・インターナショナル、ミス・ワールド、ミス・ユニバースが有名だが、地方に行けばその地方の特色に合わせたミスコンテストが開かれている。学年別では小学校の「可愛い天使」から大学の「ミスキャンパス」まで揃っている。
日本で最も人気のあるAKB48は、全国から選ばれた数十名の14歳前後の可愛い女の子たちで構成されている。日本を代表する美少女グループと呼ばれている。
こうした文化は海外にも輸出されている。香港でかつて流行した「逃学(学校をさぼる)」シリーズや台湾の学園ドラマ、韓国の高校ドラマである。これらはみな日本の美少女文化を題材にしており、中にはまったくの「パクリ」と思われるものもあった。
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