▽日本の製造業の野心
現在、日本のメディアを含む多くのメディアが、日本の製造業の没落ぶりを報じ、特に携帯電話やインターネット産業の低迷を書き立てる。だが張准教授は、「これは日本のメディアや学者が悪いことばかり取り上げて、いいことは言わないという伝統に根ざしたものだ。実際には、日本の製造業は順調に発展している」と指摘する。
日本の製造業は今なお野心を燃やす。一方では、海外M&Aを通じて関連分野に進出し、強みをもつ資源を統合し、さらなる発展の可能性を探り続ける。もう一方では、技術特許を大規模に開放して技術を普及させ、その分野のトップランナーになろうとしている。
現在、日本企業の海外M&Aは米国の規模に迫る。米国では金融産業などが中心であるのに対し、日本では製造業が主流だ。2014年の日本の海外M&Aの金額は700億ドル(約8兆7857億円)に迫った。
日本は特許の開放に力を入れる。トヨタは燃料電池関連の特許約5800件をすべて開放する予定で、パナソニックもインターネットに関する技術特許約50件を開放する計画だ。張准教授は、「特許開放は他のやり方よりもよく問題を説明することができ、日本が十分に進んだ技術を備えていることがわかる。トヨタの燃料電池関連の特許開放を受けてBMWをはじめとするメーカーは大きな脅威を感じている」と話す。
日本の製造業企業のこうしたやり方の目的は明らかであり、世界の技術を主導するトップランナーになり、グローバル市場の占領を加速させることが狙いだ。そのためにはより多くの国と地域で、より多くの分野で、日本の技術が応用されなければならない。そうでなければ永久にトップの座に座り続けることはできないのだ。だがこれは容易なことではない。ここから日本企業が自分たちの技術に強い自信をもっていることがわかる。
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