「クロスボーダーEC(電子商取引)」は、中国ではすでに珍しい物ではなくなっている。カナダ最大の都市トロントでは近年、中国・カナダ間の取引が急増。クロスボーダーEC事業者も増え、中国の消費需要の伸びが成長の原動力となっている。
中国では、カナダのメープルシロップ、西洋人参、アイスワインなどの人気が高い。中国では中産階級の拡大とともに、質の高い生活が求められるようになっている。カナダ産の自然環境に配慮し、天然素材を利用した良質な製品を中国で販売すれば、投資家やクロスボーダーEC事業者にとって大きな商機となる。
カナダでIT企業を経営する梁正斌氏は、中国・カナダ農産物クロスボーダーECプラットフォームの構築を急ぐ。インターネットと農業を結び付け、カナダ特産の良質な農産物を中国の広大な消費市場に届けようとしている。
「カナダは国土面積が中国より広いものの、人口は3500万にとどまる。人口13億人の中国にとって、カナダの大豆油、トウモロコシ、蜂蜜など低農薬・低化学肥料の農産物はいずれも優れた特徴があり、一般大衆が日々必要としている物だ」と梁氏は語る。
8月初めに開業したカナダ新永安集団傘下のAmericoトロント店もまた、実店舗とオンライン販売を結び付ける「O2O(オンライン・ツー・オフライン)」方式を取り入れたクロスボーダーECのビジネスモデル構築に注目する。Americoは、EC大手の京東集団や物流大手の順豊エクスプレスと提携し、中国・カナダ貿易市場を開拓する。
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