1つは税率や運営コストなどの影響を受け、多くの製品が国内外において価格逆転現象が起こっている。商務部(省)の2011年度の調査データによると、腕時計、バッグ、衣類、酒、エレクトロニクスなど5種類の製品20ブランドの高級品において中国大陸部の市場価格は香港地区、米国、フランスに比べそれぞれ45%、51%、72%高かった。これは観光客が国外で買物をすると国内と価格差があり航空券代が浮くことを意味している。
もう一つは多くの中国人観光客は国外の製品はより品質保証があると感じている。ここ数年来、一部の中国製の品質はばらつきやコンプライアンス違反の低コスト問題があり、「毒入りミルク」など劣悪事件が一部で国産製品に対する信頼を著しく傷つけた。以前は国外の主な買物品は高級品だったが、ここ数年ミルク、電化製品、米、便座などの生活用品の買い漁りにシフトして、国産製品の品質向上と消費者のニーズの向上の間の亀裂が徐々に大きくなっていることがうかがえる。
これらの2つの要素が作用した結果が中国は2009年以来観光サービス貿易赤字が拡大し続け、2014年には1000億ドル(約12兆円)を突破し50倍にも増加させた。メディアのいうところの「世界最大の観光サービス貿易赤字国家になった」のである。中国は早急に国民の国内での購買力の放出に尽力しなければいけないことはすでに基本的な共通認識になった。
1兆元(約19兆3千億円)を超えた利益流出の歯止めをかけるには中国国民の巨大な潜在的消費力を国内に放出させ、たくさんの分野において中国製への信頼を向上させる必要がある。まず高品質の中国国産ブランドを創出するための環境を整備し、徐々に「製造大国」から「ブランド大国」にシフトさせ品質の高い国産製品によって人々の心を取り戻すことだ。消費者ニーズの研究と尊重を基礎として、科学技術革新、技術向上などを通して、中国製の粗末な製品、偽造・模倣品、危険というマイナスのイメージを払拭する必要がある。
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