より重要な事は、中韓・中豪FTAにより、中国が東アジア共同体の構築に着手できることだ。東アジアのFTAの地図を見ると、中韓・中豪のほか、中国はさらにニュージーランド、シンガポール、ASEAN10カ国とFTAを締結しており、今年さらにASEANとFTAアップグレード版を締結した。つまり中国は日本以外のすべての東アジア諸国、オーストラリア、ニュージーランドとFTA圏を形成している。中国は2016年に、次の取り組みが可能だ。
(1)中国と上述した各国の二国間FTAを共同のFTA、つまり初歩的な経済共同体とする。この面で、日本はすでに遅れをとっている。韓日はFTAを締結しておらず、ASEANとの8割を免税とする低水準FTAも、2018年の発効を待たなければならないからだ。
(2)中韓日FTA圏の交渉に専念する。中韓FTAは日本を刺激した。中韓日FTAは3年間に渡り正式に交渉を続けているが、大きな進展は見られない。中韓FTAの減税が始まり、韓国と同様の製品を生産する日本は居ても立っても居られなくなるはずだ。
(3)東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉を完了する。RCEPはASEAN、中韓日、オーストラリア、ニュージーランド、インドの、世界の過半数の人口を網羅する環東アジアFTA圏だ。今年の交渉の進捗により、8割免税の実現が完全に可能となった。
中国のFTAの攻勢は、日本により大きなプレッシャーをもたらす。日本が何もしなければ、差は広がるばかりだ。(筆者:趙宏偉法政大学教授、中国人民大学重陽金融研究院高級研究員)
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