米国は冷戦後、重大な戦略的失策を繰り返した。2003年のイラク出兵により、イラクは現在も無法地帯化している。2010年にチュニジアで政変が生じると、米国とその同盟国はいわゆる「アラブの春」を奨励し、一部の国で次々とパンドラの箱を開いた。その影響は現在まで尾を引いている。
米国はこの3年間に渡り、失敗から身を引こうとし、アジア太平洋リバランスを提唱した。だが米国は防御・けん制の矛先を中国に向け、両国間の相互不信を強めた。これは戦略的な失策なのだろうか?2つの大国に国際的な問題を共に処理する機会を失わせたのだろうか?
当然ながら、我々は過度に悲観視する必要はない。国際社会はすでに、さまざまな模索を開始したからだ。
金融危機以降、G20が重要な力を発揮した。IMFは人民元を、特別引出権の構成通貨に採用した。米国はついにIMFという西側主導の国際機関の改革案を受け入れた。中国が設立を提唱したアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、既存の国際枠組みの不足を補う。中国と米国の気候変動協定は先月の、国連気候変動パリ会議の成功の堅固な基礎を固めた。
中国には世界の覇者になるつもりはない。これは国内に大きな問題が存在しており、未来の国際事業は各国で共に対処するべきだと信じているからだ。中国は米国と安定的で建設的な関係を維持する必要がある。また中国は、自国の国力と地位にふさわしい国際的な責任を、より多く負担していかなければならない。キッシンジャー氏が昨年11月に北京を訪れた際、中国側は要請に応じ中国の若者との対話の場を設けた。世界秩序の変革の問題に触れると、彼らはこぞって米国を批判した。キッシンジャー氏は我慢強く耳を傾けた後、「若者よ、今この世界の権力をあなたたちに委ねるとしたら、世界秩序に対してどのような構想を持っているか?」と聞いた。これに明確な答えを出せる人はいなかった。我々が批判と不満の段階にとどまっており、新しい構想を打ち出していないことは明らかだ。
多くの国際的な責任が早くも中国人の肩にのしかかる中、我々は他国の懸念を払拭し、ウィンウィンを実現するため、より具体的に考える必要がある。我々はさらに、世界とより良く意思疎通しなければならない。(作者傅瑩氏は全国人民代表大会外事委員会主任委員)
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