| 2016年に入り、中国経済の下押し圧力が増している。潜在失業の表面化、人民元安、株式市場の激しい変動など、リスクが増大。外部環境をみると、国際資本市場が乱高下し、原油価格をはじめ、商品相場は下げ止まらない。世界経済の先行きも不確定性が高まっている。
中国経済が4つの課題を直面している。
(一)人民元安と資本の流出にともなう金融リスクの増大。
このところ、中国からホットマネーの流出規模が比較的大きく、人民元安が加速するリスクは増している。2015年のクロスボーダー資金移動は全体的に流出超過の状況。為替決済をみると、中央銀行や国内金融機関による外貨購入額は前年比9%減少する一方、売却額は24%増加し、4659億米ドルの売り越しとなった。16年1月も資金流出圧力が増している。急激に進む人民元安、資本の流出、国内株式の変動が悪循環となり、中央銀行が利下げや預金準備率の引き下げといった金融政策を講じる余地は限られ、市場金利の上昇と債券市場のリスク増大を招く恐れがある。また、企業にとって対外債務の返済コストが膨らみ、短期的な債務リスクを引き起こす可能性もある。
(二)潜在失業が表面化するリスクの増大。
景気が低迷する一部の地域や業界では、社内失業や過剰雇用、雇用維持と引き換えに賃金を引き下げたり、雇用者数を確保するために雇用の質を落としたりするケースが見られている。余剰生産能力の解消、経営が立ち行かなくなった「ゾンビ企業」の市場からの撤退を推進するなかで、従業員の再就職などが課題となっている。特に、従業員が春節で帰省する間に生産停止や工場閉鎖に踏み切る企業もあり、春節明けの雇用が一層厳しさを増す。国家信息中心がまとめた「ネットユーザ就職圧力指数」をみると、14年以降で指数の上昇が続いており、雇用情勢の厳しさを示している。
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