他人とは違う、わたしだけができること。売れない芸人だったこともあって、講演中は大きな笑いを取ること、大きな拍手をもらうことを意識している。ただ、教師であるから、ただ笑いを取るわけにはいかない。勉強になる話なら、わたしよりも知識の豊富な先生方に太刀打ちできない。観衆からは「笑いながらも勉強になった」と思ってもらえなければダメなのだ。

ここまで北はハルピン、南は広東省・海南島で講演を実施してきたが、最近は毎日のように「全国各地を旅できるとは、なんて幸せな人なんだろう」とおっしゃる人に出会う。考えてみれば、ほんとうに幸せなこと。お金のまったくないところからスタートしたが、「日本語」を持ち歩くだけで全国各地を飛び回っている。

誤解されては困るから言うが、今はただ幸せをかみしめる作業をしているのではない。これまでお世話になった人たちのために汗を流し続け、これからお世話になる人たちのために汗を流す作業をしているのだ。

この点も、若い人たちに知っていてもらいたいことだ。